たがね餅って知っていますか?米菓の商品名ではありません。昔からあるお餅の種類のことです。たがね餅を食べたことがあるのは、日本の中でも特定の一部地域に住んでいる方になります。食べたことがある人が少ない理由として、地域でのみ作られ地域でのみ消費されていた背景があります。
たがね餅がどんなお餅なのか、どんな地域で食べられていたのか、調べてみました。「たがね餅」にはきちんとした特徴があることもわかりました。是非皆さんにも日本の伝統食の一つとして知っていただけたらいいな、と思います。
たがね餅は何で作られているのか
たがね餅とは、もち米とうるち米を合わせて作ったお餅のことを言います。お餅のようには伸びないけれどもうるち米ほどあっさりもしていない。配分は地域や家庭によって様々ですが、当然のようにうるち米が多いと硬めのお餅になります。
形も地域によりますが、多いのがかまぼこの形のように固めて、薄く切る食べ方です。またはお正月に作る切り餅のように四角い形のもあります。かき餅よりも薄くスライスして乾燥させれば、たがね餅のおかきになります。
農林水産省のHP「うちの郷土料理 茨城県 たがね餅」に記載されているレシピでは、もち米3.5:うるち米1.5の比率で作られています。塩を入れて味付けをし、青のりや大豆を入れたり、または素のままで白餅のように作ったり、など作り方も地域によって様々です。
たがね餅を食べる地域
農林水産省のホームページでは、たがね餅は茨城県の郷土食としています。全国2番目の大きさを誇る霞ケ浦を基盤とした米どころの茨城県ですから、お米の美味しい食べ方がたくさんあります。特にたがね餅は茨城北部では大豆と塩、南部では青のりと塩をいれて作ることが多いようです。
一方で西日本のほうに行きますと、東海ではこわ餅やこまか餅と称しますが、三重県ではたがね餅の名前も見受けられます。北陸福井ではこごめ餅、関西ではうる餅またはうるう餅と名前はさまざまです。全国いたる所で食べられていることがわかります。
茨城では青のりや大豆を入れて間食として食べていますが、西日本のほうに行くと白餅として食べられていることも多く、お雑煮に入れて食べる地域もあります。そもそも、もち米は貴重品でしたから、うるち米を混ぜてつくことは何ら珍しいことではなく、もち米を大事にたべるために考え出された生活の知恵でもあったのでしょう。
たがね餅の美味しさ
見た目はお餅ですが、食感が異なるのがたがね餅。もち米とうるち米を混ぜて搗き込んで作っており、もち米は粘りの強いお餅になり、うるち米は硬いお餅になります。うるち米の粒々が残るのも特徴で、この粒々感がたがね餅の良いところにもなります。
焼いてもお餅のように膨らみすぎることもありません。あまり伸びないので噛むとむっちりとして歯切れが良いです。粒々が残る食感は、好みがわかれるところですが、ぷちぷちとした感触を好む人も多いようです。
お正月のお餅でのどを詰まらせる事故が後を絶ちませんが、硬めのたがね餅にかえてみるのも一つの手段かもしれません。もともとたがね餅を正月のお餅にしている地域もありますから、決して変わった食べ方ではありません。咀嚼力が弱くなったと気になるご家族がいらしたら、たがね餅を一度試してみるのはいかがでしょうか。
たがね餅をおせんべいにしている地域もあり、商品化されて定番になっています。見た目はやはり粒々の残ったおせんべいですね。おこげせんべいなどのようにうるち米の粒をそのまま残したようなおせんべいもありますが、たがね餅せんべいは粒を少し感じる程度です。
たがね餅せんべいは、おかきとおせんべいどちらに分類されるのでしょうか。もち米はおかき、うるち米はおせんべいという分類をするとどちらにも当てはまりません。たがね餅をネットで探すときは、おかき、おせんべいどちらの分類もチェックしましょう。
たがね餅を買ってみよう!
たがね餅を楽天で販売している商品をご紹介しましょう。簡単に購入サイトにうつれるので、商品の情報や特徴をよく見ることができます。自分の好みに合っていればリピートするのもいいですね。お米の配合や付き具合も個性があるでしょうから、いろいろ試してみたいですね。
餅タイプ
おかきタイプ
たがね餅を食べてみよう!
地域の特産性が強いためなかなか目にすることがないたがね餅ですが、機会があればぜひ食べてみてください。粘りの少ない独特の食感がくせになるかもしれません。特に冬を迎えて年が明けるころから寒餅を搗く農家が多いですから、冬の産直売り場で見かけることができるでしょう。
もしかしたら形や味はもち米と大差ないので、対して変わりはないと感じるかもしれません。それでも不思議な食感とさっぱりとした後口に、今までのお餅にはない魅力を感じるでしょう。
〈たがね餅扱いHP〉
・文福のかきもち
https://www.bunbuku-kakimoti.com/taganemoti.html
・あられ処 たばね庵
https://tabane.com/
・米蔵髙安
https://komegura-takayasu.com/
・遠州屋
https://engasane.jp/SHOP/EG-O-054.html
・たがねや
https://www.taganeya.com/index.html
・大川農園
http://www.okawanouen.com/
〈参考サイト〉
農林水産省「うちの郷土料理」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/taganemochi_ibaraki.html
〈参考文献〉
渡部忠世・深澤小百合「もち(糯・餅)」法政大学出版局 1998年刊
「聞書き 茨城の食事」社団法人 農山漁村文化協会 1985年刊
「聞書き 三重の食事」社団法人 農山漁村文化協会 1987年刊