勘三郎が愛したおこげせんべいーおせんべい物語:福屋

せんべい

おこげっておいしいですよね。おせんべいのぷっくり膨らんだところが焦げていたりすると嬉しいものです。そのおこげを愛した第十七代中村勘三郎がおせんべい屋の主人に作らせたのが、神楽坂毘沙門せんべい福屋の勘三郎せんべい。

おせんべいにしてはちょっと焦げすぎでは、と思ってしまいますが、このおこげこそが特徴のおせんべいであり、勘三郎がわざわざ焦がせて作らせた名物なのです。江戸東京ならではの歌舞伎役者が生み出したおせんべいの粋なお話をご紹介します。

毘沙門せんべい福屋とは

東京新宿区神楽坂にある善國寺。創設が1595年(文禄4年)と400年以上の歴史があります。毘沙門天像を創設当初より奉り信仰しています。神楽坂を代表する寺社であり、東京の縁日発祥の地ともいわれるほどの賑わいを見せています。

その善國寺の前にあるのが福屋の毘沙門せんべい。毘沙門天の名前を冠したおせんべいで人気を博しています。神楽坂を代表する老舗でもありますが、外観・店内ともに現代的できれいな店舗になっています。

勘三郎せんべいの誕生物語

福屋のおせんべいを愛用していたの第十七代中村勘三郎。第十七代は、1909年–1988年に活躍された歌舞伎役者で、現在の六代目中村勘九郎・二代目七之助の祖父にあたります。戦後の歌舞伎界を盛り立てた方でもあります。

第十七代中村勘三郎が福屋のせんべいを焼いているところに居座ったのが、焦げたせんべいの始まりでした。焼いている店主に向かって「もっと焼け、もっと焦がすんだ」と注文をします。店主は焦がしすぎて苦くて食えませんよ、と忠告するも「俺の特別注文だ」と作らせていました。

店主はいつ勘三郎からの注文が入ってもいいように店頭の地球瓶(ガラス製の球体の保存瓶)に準備しておいたところ、一般のお客さんからも欲しがられたため商品化しました。店主もびっくりしたものの、勘三郎に許可を得て「勘三郎せんべい」と名付けられました。

神楽坂は花街でもあったため、多くの文人に愛されていました。勘三郎も神楽坂を愛した一人であったのでしょう。気に入って作らせたおせんべいが時を経て現代でもその味が名前ともに受け継がれていることに驚きと感動を覚えます。神楽坂もまた文人墨客や芸能を愛しているのでしょう。

勘三郎せんべいは神楽坂に行ってこそ楽しめる!

勘三郎せんべいは、神楽坂で愛されているおせんべいであり、お土産としても貴重な一品。ネット販売をしていないので、知る人ぞ知る地元にしっかりと根付いているおせんべいやさんです。気軽に買えないのも今の時代には貴重な付加価値になります。

おせんべいを取り寄せたい人は、下記のTEかFAXかメールで注文を受け付けてくれています。取り寄せもいいけど、善國寺のお参りもかねて福屋の勘三郎せんべいを買いに行くのもいいですね!

毘沙門せんべい 福屋
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4丁目2
℡:0332692983
Fax:03-3269-3388
メールアドレス:fukuya@kagurazaka.net
HP:http://www.kagurazaka.net/fukuya/fukuya.htm