手軽につまめるあられ。身近すぎて存在をあまり感じませんが、実は優秀な間食です。米菓なので腹持ちは良く、軽いのでついつい食べ過ぎてしまうこともあります。そのうえ、お酒のおつまみにもなり、料理の食材としても利用されています。
もともとは空から降ってくる「霰」から連想して名付けられたあられは、「小さい」「小粒の」などの意味があります。もち米から作られたあられおかきは、古くから食べられていました。日本人にとって大好きなお米から作られたあられがどのような存在なのか改めて考えてみましょう。
古くから食べられていたあられ
もち米から作られていたあられは、おかきを作る際の副産物として作られることが多いため、小さくかわいらしい間食として食べられています。お正月に鏡餅を食べる習慣は、平安時代にも記録があるため、あられも同じくらいから派生していたと考えられます。
関東と関西で異なるあられ
実は、あられには関東と関西のちがいがはっきりあります。同じもち米から作られていますが、関東では粒のまま膨らませて蜜を絡ませたはぜ米、関西では餅を細かく刻んだ小さいおかき、とみためは大きく異なります。
全国にある行事食としてのあられ
古くから食べられているだけあって、全国いたる所に行事食としてのあられがあります。大きさや形、色付けまでされてカラフルな演出もされています。
花供曾(はなくそう)ー京都
ぼりぼりー京都
雛あられは近代になってから
3月3日のひな祭りの時は、さまざまな和菓子が食べられています、菱餅や、桜餅に加えて、地域で当たり前のように食べられている行事食もたくさんあります。雛あられもその一つ。お正月が過ぎると、スーパーでは雛あられが特別コーナーに並びだします。
色とりどりの雛あられですが、実は明治以降に一般的に食べられるようになりました。お雛様を飾る習慣そのものが、一般庶民の行事となったのが明治以降だったからです。江戸時代には身分の差をはっきりとさせていたたため、公家や武家などの由緒正しい家柄でしか楽しむことができませんでした。
明治維新とともにさまざまな文化が、地域や身分の垣根を越えて入り混じるようになりました。お雛様もその一つ。華やかで優雅な公家の文化が一般庶民の家庭にも受け入れられるようになります。花供曽のような行事食が、雛あられとして形を変えて浸透していきました。
色とりどりの印象がある雛あられですが、色の種類や味付け、色に込められた意味など地域によって微妙に異なります。それこそ、まだまだ一般的に知られていない地域色もあるでしょうし、消えていった食文化もきっとあるのでしょう。
あられって奥が深い
行事食となっている雛あられは、意外にも近代以降の習慣となりましたが、あられそのものは古くから存在する日本の伝統食。寒さが厳しい冬におかきとともに大量に作りこむ日持ちのする食糧でした。小さなかけらでありながら愛されているあられは、実は奥が深い伝統食です。